TMJ投資顧問代表 渡邉誠二の株ズバッ!!

渡邉誠二/58歳/新潟県出身。早稲田大学、シカゴ大学在学中にMBA取得。日興証券(ロンドン支社)やメリルリンチ証券、シティーバンクなどを経て独立。TMJ投資顧問 代表取締役に就任。

フランス大統領選

フランス大統領選、、、

皆さんこんばんは。ナベちゃんこと渡邉誠二です。

4月25日にフランスのルペン氏が、大統領選の最中は、極右政党である国民戦線(FN)の党首を退くとの意向を示しました。やはり「極右」というレッテルを貼られていては、フランス国民の幅広い支持は得られないという判断からだと思われますが、今さらという感もあります。フランスではまだ、ナチスドイツによる侵略の記憶が生々しく残っていて、極右勢力に対するアレルギーは相当強いものがあると考えられます。ルペン氏は今回の行動によって、いくらかでも票を呼び込むことができるのか、その支持率に変化は現れるのか、要注目です。

それでもマクロン氏の優勢は揺るがないと思われます。しかしマクロン氏に、低迷を続けるフランス経済を立て直すことができるかどうかは、大いに疑問です。マクロン氏は、官僚として、投資銀行役員として、そして経済相として、とても優秀だったことは折り紙つきです。しかし、それらはいずれも、優秀な官僚としてのマクロン氏の延長線上にあるキャリアのように思えてなりません。国政の舵取りとなると、また全く別の能力が必要とされるのではないかと考えてしまいます。

マクロン氏が演説で話したされる言葉の英語訳を見つけました。

“I’ve always accepted the vertical dimension, of transcendence, but, at the same time, it has to be utterly anchored in the immanent, in the material.”

「私は常に、超越がもたらす垂直的次元を受け入れてきた。しかしそれは同時に、内在するもの、実体、に完全に固定されていなければならない。」無理矢理日本語に訳すとすれば、こんな感じでしょうか。また、こんなのもあります。

“We all have our roots. And because we all do, there are trees next to us, there are rivers, there are fish. There are brothers and sisters …”
「私たちはみな根っ子を持っている。そして、みんなが根っ子を持っているからこそ、私たちの隣には木があり、川があり、魚がいる。そして兄弟、姉妹がいる…」

日本語訳のまずさはお許しいただくとして、マクロン氏が何を言いたいのか、さっぱりわかりません。いかにもエリートフランス人っぽい、哲学的な物言いのようにも聞こえますが、これを聞いて普通のフランス人はどう思うのでしょうか。根っ子があって、その隣に木があるのはいいとしても、なぜそこから川、魚(!)に行くのか、そして兄弟、姉妹…に至っては、なんじゃらほい、ですな。

フランス大統領選

皆さんこんばんは。ナベちゃんこと渡邉誠二です。

フランス大統領選の第一回目の投票が終わりました。
マクロン氏とルペン氏が1位、2位となり、5月7日の決戦投票で二人が雌雄を決することになります。この決選投票では圧倒的にマクロン氏が優勢のようですからここでの番狂わせはないように思います。日本の株式市場はとりあえず24日(月)の取引ではマクロン氏が1位となったことを歓迎する動きとなっていますが、このまま上がり続けるかどうかはわかりません。

マクロン氏の1位は大方の予想通りでもあったわけで、これ以上に市場を動かすエネルギーにはならないような気がします。とりあえず「安定」と「継続」が担保されそうだということでしょうか。

フランス内務省の発表ではマクロン氏の得票率が23.75%ルペン氏は21.53%ということですが支持基盤の強さという点ではどう見てもルペン氏側に軍配が上がりそうです。

また一部ではマクロン氏とトランプ大統領は鏡に映したように対称的だという人もいます。マクロン氏は典型的な官僚でありトランプ氏はバリバリのビジネスマン、そしてマクロン氏の奥様は彼より24歳年上でトランプ大統領の奥様はトランプ氏より25歳若い、、、などなど。

そしてある研究によれば年下の男と結婚した女は早死にする傾向があり若い女と結婚した男は長生きする傾向があるそうな…。しかしこれはどちらも男が長生きする話だから対称的というわけではありませんね。

いずれにしてもBrexitを引き起こしトランプ大統領を誕生させた反「主流派」の大きな流れは依然として力強いものがあると思われます。フランスにおいてここまで反EUの声が高まってきたということはドイツにおいても9月の総選挙に向けて反EUの動きがますます強まっていくことでしょう。

そしてそのドイツでは長期間首相を務めているメルケル氏(CDU:キリスト教民主同盟)に対し、国民の間で「もう飽きた」という声が高まってきているとのことです。その間隙を縫ってこれまで不人気だった野党(SPD:ドイツ社民党)が党首をガブリエル氏からシュルツ氏に代えたことで人気を盛り返しているようですからメルケル氏も安泰ではありません。

もっともシュルツ氏自身は脱EU政策は取っていないと思われどちらの政党が政権を取るにしてもEUに関する政策が大きく変わることはなさそうです。むしろ、これまでギリシアなどに厳しい要求を突きつけてきたメルケル氏に比べシュルツ氏の方がより寛容的な政策になりそうです。

Brexitにしてもトランプ大統領の誕生にしてもいわゆる主流派メディアの予想とは違う結果が出たことで、為替市場と株式市場は大きく揺さぶられましたがフランス大統領選でのマクロン氏の勝利は堅いと思われ市場への大きなショックはなさそうです。

ドイツの総選挙も政権を取るのがCDUにせよSPDにせよ基本的な政策に大きな違いはなく、これも市場の大きな波乱要因になるとは思えません。やはり今年は朝鮮半島と中東をめぐる地政学リスクが、市場を揺さぶっていくことになりそうです。

相場雑感

皆さんこんにちは。ナベちゃんこと渡邉誠二です。

年初来の日本の株式市場がもたついている。アメリカの市場が、昨
年11月からほぼ一本調子に上げてきているのと比べると、ちょっとさびしい感じがする。年初来のドル円が5%ほど円高に振れていることが主な原因なのだろうが、日本の場合は期末要因ということもある。ただ、こういう動きのない相場が続いた後には、上にも下にも、大きな動きが出るものなので、個人投資家として心の準備だけは怠らないようにしたい。

これを書いているのは日本時間3月22日の午前中なのだが、21日のNYは237ドル安であった。4日続落である。大きな悪材料が出たわけではないので、ひょっとすると、しばらく調整入りということか。もしかすると、トランプ相場の第一幕が終わったのかもしれない。そうである場合は、5月あたりまで調整色の強い展開となるのではないか。仮に調整局面が5月まで続くとすると、フランスの大統領選も同じ時期であることから、もし、そこでルペン候補が勝って、フランスもEU離脱となった場合には、いよいよEU崩壊というシナリオが現実味を帯びてくる。今の相場がそのあたりのシナリオを織り込みにいっているのかどうか、気になるところではある。そして仮に、ここから1~2ヶ月の調整があった場合、日本の株式市場では、材料株がこれまで以上にはなばなしく動いてくるのではないだろうか。

今年はまたヨーロッパが注目されるかもしれない。先日のオランダの選挙では大きな番狂わせは起きなかったが、4~5月のフランス大統領選、8~10月のドイツ総選挙と大きな選挙が続く。そして、選挙はもちろん大事だが、ギリシャなど南欧諸国の問題がまた火を噴くのではないかと懸念する。ギリシャの問題が再燃した場合、ドイツやフランスが再度のギリシャ救済を呑むことは、もうないだろう。前回のギリシャ危機の時、ドイツやフランスは、「なぜあいつらのために我々の税金を使うんだ」という国民からの至極もっともな意見を押さえつけて、「ユーロ存続のため」という錦の御旗を掲げてギリシャ援助に踏み切った。だが、もう、次はないだろう。国際政治の場では、「仏の顔は一度だけ」だと思うから。そして、たとえフランス国民が大統領選でユーロに留まることを選んだとしても、ギリシャのユーロ離脱は繰り返し取りざたされていくだろう。ユーロにとっては大変な時期が続く。

ただ、ユーロに対する信頼が失われるということはドルが買われるということでもあるので、日本やアメリカの株式市場にとっては、むしろいいことなのかもしれない。不思議なもので、株価というものは、外部環境がばら色に見える時よりも、懸念材料がたくさんある時の方が上がっていくものだ。ヨーロッパの問題しかり、また、トランプの今のやり方で大丈夫なのかといった心配もあるだろう。ならば、北朝鮮は?中国は?中東情勢は?そして、そもそも日本の経済はどうなんだ?である。それらをすべて呑み込んで株式市場は存在する。株価が上がるのならば、素直に「買い」で付いていこう。下がるのならば「見送り」か、あるいは一歩進んで「売り」である。株式市場は、我々凡人の浅知恵よりも何倍も賢いということを肝に銘じておこう。

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プロフィール
TMJ投資顧問 代表取締役の渡邉誠二です。 ここでは多くの個人投資家に向けた、株式情報/株式コラム/経済などを中心に私の個人的観点でつぶやいています。共感してもらえたら是非お気軽にコメントをください。
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